Sunday, March 04, 2007

「いじめ防止プロジェクト」 まとめ

子どもたちは、回を重ねるごとに確実に興味と感心を持っていったようです。
それは、普段あまり話し合われない「いじめ」や「心の傷」というテーマが安全、安心を前提としたルールのもとで自由に発想、表現され、またそれが尊重されるという雰囲気の中で進んだことが、現実に向き合っていくという子どもたちの力を引き出したことと感じました。
この点でファシリテーターがプログラムを構築する際に苦心したのは、彼らの真実を見極めるにはファシリテーターが信頼関係を築き、明るくワークショップを進め、個人個人の本音をどれだけ引きだすことができるかであり、クラス全体で方向性を見出せるかというプログラムの仕組み作りだった。そのために、宿題というかたちで個人が一人で取り組んだワークを、再度5~6人のグループで話しあい、グループで取り組んだワークを再び個人が持ち帰り、もう一度考えるワークを何回か重ね、最終的にクラス全体で共有していくという形にしました。

外部講師であるファシリテーターがこの年頃の子どもたちに感心のあるテーマであるカウンセリング等、心理学的雰囲気を持たせた講座を行ったことも効果的でした。
しかし、宿題を読む限り、彼らの中には元から痛みがあり、どうにかしたいという気持ちも下地として持っていたし、書いてあることは、一部、講師や先生方へのサービスもある事はわかりますが、ほとんどの子どもたちがいじめに対して「NO!」という意見を書いてくれた。これは彼らの真実であると思います。
子どもたちの心の変化は段階を経て変化していきました。
最初はいじめはあるものだという冷めた考えも多く感じられましたが、2回目、3回目には自分達にも何かできるかもしれない、そう思うのは自分一人ではなく、同じ考えをもっている仲間がいて、一緒に活動することで何かを変えられるかもしれないと、徐々に希望をもった意見が多くなっていきました。希望と現実とのギャップが正に彼らの悩みであることから、ギャップを減らすことに努力しました。それは、第4週目に予想をはるかにこえる生徒がSchool Buddyに参加を表明してくれたことで報われました。

子どもたちと接して感じたことは、彼らはいじめについてしっかりとした考えを皆もっていた。全員が何らかの形でいじめに関わっていて、被害者として、加害者として、そして多くが傍観として、全員がつらい思いを抱えていました。4回連続のワークショップは一方的な情報提供ではなく、一週間かけ、生徒自身も生徒同士でも考え、家庭でも家族と話し合う時間的余裕もあったことが、彼らの力を段階的に引き上げ、大きな気づきと力を引き出す結果につながったと思います。

最近小学校を中心に行われるようになった子どもの人権ワークショップのように、一回だけ、もしくは一方的なプレゼンテーションで与えられる知識とは違い、個人個人が、またグループ自らが考える場面を繰り返し設け、引き出された力や思いを4回のワークショップ後も学校内にいじめ防止システムを残すところまでがプログラムであり、システム構築、School Buddy育成や運営までも生徒、先生方と専門家が長く関わることがこのプログラムの特徴です。
いじめの加害者である子ども、また被害者である子どもも回を重ねていく中で徐々に警戒心を解き、初回まったく参加できなかった子どもが、最後の回にはロールプレイに積極的に手を上げ参加できるようになったクラスもあり、何よりも生徒たちの中からSchool Buddyに参加したいという子どもたちが多く出てきたことはファシリテーターとして大きな喜びでした。

■今後の予定
3月9日の卒業式後にSchool Buddyを正式に募集し、春休み前には活動説明会を実施し、できるだけ早い段階「Buddyトレーニング」を開始したいと考えます。 また、3月15日には先生方職員向けの研修も始め、生徒たちと情報共有を図りたいと思います。3月23日に行われる就業式前に全クラスで考えてもらっている、いじめをなくすための生徒自身のメッセージ(ポスター、標語、漫画、俳句、川柳、劇、歌など)の発表が楽しみです。       

 2007年2月23日
 湘南DVサポートセンター
 END VIOLENCEいじめ防止プログラム
 代表 瀧田信之

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